第36回日本森田療法学会

ご挨拶

 このたび、第36回日本森田療法学会を2018年9月1日(土)、2日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎において開催させて頂くことになりました。大変光栄に存じます。
 森田正馬は神経症者の不安を病理とみなさず、『人が死にたくないのは、生きたいがためである』とし、生の欲望と表裏一体と理解しました。これは森田療法の独自性でもあり、西洋で生まれた精神療法と最も異なる点と言えます。さらに「治るという事は、単に苦痛がなくなるのではない。ますます精神健全に、ますます適応性を発揮して、人生に向上発展するのが本旨でなくてはならない」とも述べました。つまり、森田療法はとらわれからの脱出のみならず、「どのように生きていくか」といった生き方を問う精神療法でもあります。そうであるならば、森田療法の回復の歩みは一方向ではなく、個々人が選び取っていくものであり、様々な形があり得るのではないでしょうか。
 そこで今回の大会のテーマを、森田療法による生き方の支援、回復の在り方に焦点を当て、「やわらかに生きる ~森田療法による回復の歩み~」と致しました。森田療法によって、個々人がどのように回復し、どのような人生を自ら歩んでいくのかをさまざまな視点から議論し、森田療法が果たす役割・有効性について明らかにしていきたいと考えております。
 特別講演には慈圭会精神医学研究所の青木省三先生をお招きし、発達障害の適応という観点からお話し頂く予定です。シンポジウムは、「森田療法による回復の歩み」「現代における女性のメンタルヘルス」の二つのテーマを組みました。現代の女性が抱える問題に対して森田療法がどのように貢献できるかについても考えてみたいと思っております。また市民公開講座は、副会長の繁田雅弘先生に高齢者に対する支援についてお話し頂きます。
 大会前日の8月31日(金)には、例年通りプレコングレスも開催致します。また一般演題に加えて、研修症例セッションも新たに企画致しました。プレコングレス同様、研修症例セッションも専門家向けのプログラムとなりますが、外来森田療法の理解と介入について議論することによって、実践家の育成のみならず、精神療法(心理療法)としての森田療法の発展に繋げていかれれば幸いです。
 本大会は、大学のキャンパスを使用するために、例年になく早い初秋の時期の開催となりました。演題登録や発表の準備なども早まり色々ご迷惑をおかけすることになりますが、森田療法を実施してきた心理臨床家として、本大会が森田療法のすそ野を拡げる機会になればと考えております。少しでも多くの方々にご参加頂き、本大会を通して森田療法の魅力を共有し、実り多い時間を過ごして頂くことを心より願っております。

第36回 日本森田療法学会

会長 久保田幹子

法政大学大学院人間社会研究科臨床心理学専攻 教授